お風呂

自分はお風呂が好きな方です。

体調悪くなければ毎日入るし、帰宅が日付変わる手前なので湯船は滅多に沸かさないけど。でも、お風呂に入ること=一日の終わりと区切りの一つになるので気分がリセットされる気がします。

お風呂入っていると、なぜか小説のアイデアが降ってきたりします。「あ! この展開はいける」とか、ひらめく感じです。「お風呂あがったらメモするぞ」なんて思って出るわけです。が、髪の毛乾かしたりなんやらしてたら忘れます。最悪。

十年くらい前の話になりますが、

「忘れてしまうならどうしたらいいか」

考えた結果、「浮かんだ時にすぐにメモするべきだ」と答えを出しました。いやまあ当たり前と言われればそうなんですけど。

そう思い、わたしは「とあるメモ」を購入しました。

それは、「防水メモ」。名前の通り水にぬれても書けるというもの。特別なペンは必要なく、いつものボールペン(油性のものに限る)で書けるんです。すごいね。

「これでアイデアを忘れずに済むぞ!」

購入した夜、わたしは意気揚々とこのメモとボールペンを持って入浴。

そして身体を洗ってる時、ふとアイデアが!

「よし、書き留めるぞ!」

メモとペンを手にする。


しかし、ここで重大な問題に気づきました。


わたしは強度の近眼だったことを……。


小学校三年のころから徐々に視力が悪くなり、高校卒業辺りでメガネを買い替えに行くと、「お客さんの視力ではメガネで1.0に調整するのはかなり難しいですね……。限界と言うか……メガネかけて夜道が歩くと危ないレベルです。早急にコンタクト検討してください」という、メガネ屋で最終通告を受けてしまうほどのド近眼。

つまり、お風呂入ってる時は「感覚」で作業してます。シャンプーやリンスのラベルなんぞ見えないから右がシャンプー、左がリンスと置き場所まで決めてるくらい。

なので、メモを0距離に近いところまで持って行かないと書けない。書いても湯気がすごくて余計に視界が……。

慌てて、洗面所に置いているメガネを取って浴室に戻る。

第二の問題発生。メガネが曇る。拭いても拭いても……そりゃあそうだよ。普通のメガネなんだもの……。


それからどうしたか。わたしはもうメモを取ることを諦めました。早々の挫折。

ただただ忘れないように、何度も何度も念仏のようにアイデアの一部始終を脳内で唱え、お風呂の作業を完遂してから書き留める。途中でドアの開け閉めしたら、今の季節(2月)は寒いんで……。


あの日買った防水メモはたぶん家のどこかに眠っているかもしれないし、引っ越しの時に処分したかもしれません。

もし、わたしがいつかレーシックをしてお風呂でも文字が見えるようになったら、今度こそ君が良い相棒になるだろうと思います。それまで待っててくれ……。

星降る夜明けのスワン

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