くせ毛、髪質硬い、毛量多い。

髪の主な悩み3点セットを抱え、この世に生まれたわたし。

同じ3点セットの髪を持つ母方の祖母、母からの遺伝でございます。すげぇな、遺伝って。わたしと妹の代で特にめちゃくちゃ強くなって出たから。代を重ねるほどほんと強くなるんだな……。


幼少期。剛毛のわたしの髪をお母さんはいつも結ってくれてました。ポニーテールとか、三つ編みとか。特に幼稚園で過ごす間、邪魔にならず、崩れたりしないようにという配慮です。

お出かけの日にはバリエーションが増えるのに加え、「今日はどう結ぶ?」とリクエストを受け付けてくれました。

わたしは元気よく言うのです。

「今日はセーラームーンがいい!」

世の中はセーラームーン全盛期。幼稚園児であったわたしも漏れずハマっていました。

と言って、ストーリーは正直あんまり興味がなく(なんか悪と戦っててカッコイイ!みたいな感じ)、キャラクターや変身道具(おもちゃ)が好きでしたが。

髪形も今のプリキュアほど難解な髪形をしてないから、子どもが「セーラームーンになりたい」と願望を抱いた時、世の中のお母さんもスタイリングしやすかったんじゃないかな。

セーラームーン・ちびうさは、ツインテール。

セーラービーナスは、ハーフアップ。

セーラージュピターは、ポニーテール。

我が家はそういう認識で、リクエストしたら櫛やらピンやらを使って再現してくれてました。

でも、拒否されることもあります。

それは、「セーラーマーズ」と「セーラーマーキュリー」の時です。

セーラーマーズはストレートのロングヘア。

セーラーマーキュリーはショートヘア。

「ヘアアレンジどうのこうのじゃないから」という理由より、「あんたは髪が多いし、くせ毛やからアカン!」という理由で一刀両断。

これが子どもながらにめちゃくちゃショックでした。「なんでわたしの髪はこんなに多くて、うねうねしてて、さらさらじゃないんやろう」と落ち込む日々。

小学生になってもその悩みは尽きず。特にわたしが小学校で初めて友達になったNは、髪質普通のさらさらストレートロングヘアだったもんで、めちゃくちゃ羨ましくて。わたしもああなりたいと、毎日櫛を通しては一瞬でうねる髪を恨んだものでした。

高学年になった時、くせ毛仲間だったMちゃんが突然ストレートヘアになって登校してきました。何が起きたかわからなかったわたしは、

「えっ、えっ、Mちゃん、その髪……」

とうろたえながら訊くと、Mちゃんは笑顔で答えたのです。

「あ、ストレートパーマした!」

と。

すとれーとぱーま?

田舎の芋小学生だったので知識がなく、「パーマは大人がやるもの」「パーマしたらくるくるになる」と思ってたから本当に驚きました。

その子には美人の双子のお姉さんがいて、その二人もストパしたから私もさせてもらったという経緯。

「すごいにおいの薬を髪の毛に塗られたり、何時間も座って大変だった!」

「そうなんや!?」

「でも髪の毛の量も減ったし、さらさらになったし最高」

「全然ちゃうもん! いいなぁ」

羨むわたしにMちゃんは一言、

「にしてもさ、ロザちゃん、今日は肩にタマネギ2つ乗ってるみたい」

直後鳴るチャイム。席へ戻るMちゃん。始まる朝礼。

なんのことやと一瞬思ったけど、すぐ理解した。

その日わたしはセミロングの髪を下の方でツインテールしてたんですよ。

つまり、丸まった髪の束×2がタマネギに見えるねってこと。

何も言い返せず、ただ身体が、脳が震えた。未だに忘れられない一言TOP10にランキングされてますよ、Mちゃん……。

悔しすぎて家帰ってすぐ「わたしもストパしたい!」ってお母さんに頼みました。

「高いし、髪の毛痛むからアカン」

ぴしゃりと一言。今ならネットで近所のどこの美容室でストパをどれくらいの価格で出来るか、すぐ調べること出来ると思うんですけど、まだ我が家にはパソコンがなかった時代。お母さんがアカン言うたらそれまで。

でも諦めず、嘆願しまくった結果、小学6年生・卒業式の1週間前にようやくストパデビュー。くせが強いから行程がさらに多い縮毛矯正で6時間近くかかりました。空腹すぎて気分は悪くなったし、尻は煎餅になりましたが。それでも、生まれて初めて髪の毛がまっすぐになったのは嬉しくてたまらなかったです。幼稚園の頃、一度はやってみたかったセーラーマーズヘアになったのだなと感慨深かったですね。

今のストパ(縮毛矯正)ってすごく自然な仕上がりなんですけど、当時はなんかピンピンにまっすぐになるのが主流だったなぁ……。技術が進歩して今のナチュラルさがあるのか、はたまたわが地元の美容師さんの腕がアレだったのか……? わからんけど。卒業式で撮影された自分の髪を見るととにもかくにも針金のようになってました。


そこから、縮毛矯正人生スタート。2~3ヶ月に1回はやってもらってます。昔は全頭コースでしたが、最近は伸びてきた根元だけ。それでも2万ちょい(カットとかも含む)はかかるので生まれつきストレートの扱いやすい髪の毛だったらという願いは消せないまま今に至ります。

大学四回生の時、1年ほど縮毛矯正やめてショートカットで生活してたこともあるんですが(なにげにセーラーマーキュリーヘア達成)、くせがある→ボリュームが出すぎる→美容室に通う回数増える→お金がかかるという負のスパイラル。結局縮毛矯正に帰ってきたという。


こないだ縮毛矯正してもらった時に最近ふと感じた疑問を美容師さんに訊いてみました。

「わたしはいつまで縮毛矯正出来ますか?」

年齢を重ねると、髪だってもろくなるもの。特に何十年と縮毛矯正してるわたしはどうなるって話ですよ。トリートメントを美容室と自宅で欠かさずやってるとは言え、縮毛矯正に最近では白髪染め兼ねたカラーまで始めてしまったので不安だったんですよね。

美容師さんは、

「希望される間はずっと施術できますよ」

「そうなんですか!?」

「特にロザさんは最近縮毛やっても根元だけ、カラーも縮毛とケンカにならないように配合してますし、トリートメント頑張ってやってくださってるせいか、そんなに痛んで仕方ないところまでいってないので」

「良かった~」

「でもね、たぶんいずれいらないってなりますよ」

「えっ?」

「年を取って、縮毛とかストパして量をおさえちゃうと貧相に見えちゃうんですよ。だから、反対にくせ毛を生かしてボリュームを増やそうってわけです」

若い頃は邪険にしてるくせ毛が……と驚きましたね。確かに女性用ウイッグとかのCMで「根元にボリュームを!」とか言うてるもんな。

いつかわたしもくせ毛であることに感謝する日が来るのか……。その日が来た時、「わたしもおばあになるんやな」って感じてまた落ち込んでそうだな……。

そんなわたしの髪の毛事情でした。

星降る夜明けのスワン

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